たるたる
@miyabi
2025年10月31日
イン・ザ・メガチャーチ
朝井リョウ
読み終わった
小説
星5
推し
ファンダム
@ ホテル
『イン・ザ・メガチャーチ』 朝井リョウ
率直な感想として一番大きいのは、「どえらいもん読まされたなぁ」という感覚でした。初読み作家さんでしたが、買って正解でした。
これから読む人も多いと思うのでネタバレ抜きの感想です。
推し活ファンダム沼にハマる女子大生
推しの若手俳優の自殺報道から陰謀論にハマりこんでいく非正規OLたち
アイドルグループのファン達を操る運営側スタッフ
意識高い系のSDGs多文化コミュニティ
K-pop界隈だけでなくなってきたオーディションサバイバル番組の闇
こういうものを解像度の高いままでごった煮にしつつ、現代日本人がそれぞれに死ぬほど「孤独」で死ぬほどの切実さで「居場所」「仲間」を求め、「自己肯定感」「承認欲求」に囚われている姿を描いているのが本作だと思います。
ある意味救いのない話でありますし、読みながら薄ら寒い気持ちになる人が殆どだと思います。
自分は推しもいないし、人や組織に嫌われるのも気にしないし、何かに熱狂できるほどはまれない、ある意味ちょっと残念な冷めたタイプの人間です。けれど、それでも上のような人やコトが身近なところであるのは毎日見ますし、この本を読んでると気がつかないうちに世界全体がそうした事に巻き込まれていく、或いは裏側ですでにそんなカラクリで動いているのではと気持ち悪さを感じました。
このあたり、すでに読まれた方はどう思われたんだろうなどと久々に他の方の感想が気になる一冊でした。
あと、作中では宗教のない日本人には物語が効くというロジックが語られますが、それは良くも悪くも非常に正しいと思います。
(このあたりは実は村上春樹なんかも繰り返して描いているテーマだったりもします)
また技術的な部分では後半に顕著ですが、内心と他の人の会話文やネットに流れる文章が同時進行で流れ込み、本人の気持ちが混乱していくのを表現している箇所などは技巧的にも上手いなと感じました。
追記、某俳優の死からの陰謀論については誰がモチーフかあからさますぎるのですが大丈夫だったのかな







