
飴田
@hukuro_neko
2025年11月2日

読み終わった
図書館で借りた
好きな場面をひとつ。
細々と物書きの仕事をしている主人公が、傷の位置も同じでまるで双子のような2つの机を買い、<雨の机><その他の机>とそれぞれ名付けて部屋に置く。積年の研究対象である雨についてしたためるときは前者を、それ以外の用途の場合は後者を使用すると決める。
しかしその道の専門家でもないため、前者にかぶりついているだけでは生活していけない。生きていくためには唐辛子やらコーヒーやらその他のテーマについての記事に集中せねばならず、結果2つの机の使用頻度には大きな差が生じてしまう。そこを「ここへ来てずいぶん不公平な日々を送ることになってしまった」と綴るのが面白い。
この2つの机への名付けや、店主の心意気が反映された安食堂のメニューブック、アブラカタブラでタムラさんがタブラさん、などなど。作中に散りばめられた擽られる言葉選び(遊び)が面白くてとても好き。
著者の作品に触れるのはこれでミルリトン探偵局(吉田音名義)とスープ~に続いて4作目。休日の午後にまったり読みはじめるルーティーンが構築されつつある。
あまり感情の波を起こさずに面白い話が読みたい、となった時にまた手にとってしまうと思う。心穏やかに読める本、ありがたい。
※作中で時折入るカタカナ使いも好きなのだけど、そういえば唐辛子の記事を依頼したスパイス卸売業者ってもしかして…!
(『世界でいちばん幸せな屋上』カタカナ思考の香辛料会社…上述の擽られる言葉遊び要素がたくさんあり大好き…あなたたちか…?!)
