
リチ
@richi
2025年11月3日
痛いところから見えるもの
頭木弘樹
読み終わった
文学のすばらしさは、言葉にならないものを、それでもなんとか言葉にしようとするところにある。
「痛いところから見えるもの」は、その試みを真摯に続けている本だ。
痛みを語ることの難しさと、その伝わらなさの構造、そして痛みと社会(たとえば、女性の痛みが軽視されやすいことや、差別と痛みの関係)までを丁寧に掬い上げている。
「痛み」というテーマは個人的で閉じたものに見えがちだが、この本が描くのはむしろ「痛みをどう表現し、どう共有するか」という、こと。痛みを持つものが言葉を尽くさねばならない、という点には不均衡も感じた。

