綾鷹 "PRIZE-プライズー" 2025年11月3日

綾鷹
@ayataka
2025年11月3日
PRIZE-プライズー
出版業界を描く小説。小説出版の裏側、賞の選考方法等がよくわかった。 天羽カインは感情剥き出し、なぜこんな言葉を言えるんだと最初は思っていたが、いい作品を出すために努力を惜しまない、自分の欠点にも向き合う姿勢に、途中からはなんとか直木賞が取れますようにと応援したい気持ちになった。 自分の気持ちを大切にして行動した結果の、最後の天羽と石田のやり取りが快い。 承認欲求とは悪いものというイメージがあるが、誰にでも承認欲求はあるし、正しい方向に力を向かわせることができたらそれは悪いものではないと思えた。 ・それに私、あの子たち二人が愛おしくて、哀しくて・・・・・ほんとうの悪人なんて一人も出てこないのに、なんでこんなにうまくいかないんだろう、なんでみんなこんなに傷つかなくちゃいけないんだろう、だけど人生って、生きるって、きっとそういうものなんだよなあ・・・・・って。 ・自分はこのひとに恋をしているのだろうか、と思ってみる。 そう、なのかもしれない。肉体を伴う欲望とはだいぶかけ離れているけれども、このひとにとっての特別でありたい、唯一でありたいと願う心は、すでに火照って焼けつくようだ。それを恋と呼ぶのなら、どうぞ呼んでもらってかまわない。 ・どうしてもこの賞が・・・・・直木賞が欲しかった。私の書く小説は、ただ面白いだけじゃない、ただ感動できるだけじゃない、何かもっと大きな値打ちのある立派な文学作品なんだと、世間に認めさせたかった。これまで私を何度も候補にした文藝春秋や、何度も落とした選考委員を、実力で見返してやりたかった。いつか必ず受賞して、何よりも自分で自分を認めてやりたかったんです ・たぶん彼女の言うとおりなのだ。書き手と伴走者はどこまでも共に走ってゆける。地の涯までもゆける。が、度を超えて同化してはならない。脚がもつれて共倒れになってしまう。
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