ぴぐ "百年泥" 2025年11月3日

ぴぐ
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@pgmn
2025年11月3日
百年泥
百年泥
石井遊佳
第158回芥川賞受賞作。 百年に一度の洪水によりチェンナイに溢れた泥と、泥と一緒に地上に姿を現したあらゆるものたち。リアルも時空も反復横飛びしながら橋を渡りつつ物語が進んでいくのが楽しい。 今年の関西万博を期にガルシア=マルケスの「百年の孤独」を読みマジックリアリズムの存在を知ったこと、インドに滞在する友人から「百年泥」という小説の存在を教えてもらったこと、その「百年泥」がマジックリアリズムの様態であり、かつ1970年の大阪万博記念コインが登場すること、自分の中にあったそれぞれの点がこの小説を通じて繋がっていくのも嬉しかった。 それこそ本文の中で「どうやら私たちの人生は、どこをどう掘り返そうがもはや不特定多数の人生の貼り合わせ継ぎ合わせ、万障繰り合わせのうえかろうじてなりたつもの」と表しているように、いろいろな繋がりが自分を構成していく瞬間を改めて感じると、ぐらついていた土台がちょっと固まるような気さえしてくる。 せっかくなら大阪万博の開期中に読みたかったし、百年の孤独と合わせてフックアップされて欲しかった。 とはいえ万博が開かれた2025年中に出会い、読むことができたので自分の中ではセーフ!
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