
坊
@Bou_Books
2025年11月4日
人はなぜ自分を殺すのか
クリスティアン・リュック,
久山葉子
読み終わった
希死念慮に悩んでいた時に本屋で出会った。これを読めばなんで自分が死にたいのかわかるかもしれないと思った。
実際読んでとてもよかったと思っている。これを読むことで希死念慮が強くならないか心配だったが(実際に著者も書く時にそこには注意を払ったようだ)自殺や安楽死について実際のエピソード(遺族含む)、統計学や生物学的視点、賛成派反対派それぞれの考えなどがバランスよく記載されていて自分の希死念慮を一歩遠くから冷静に考えることができた。精神疾患がある人や医療従事者はもちろん幅広い人達に読んでほしいと思った。ただエピソードがかなり詳細だったりリアルなものもあるので状態が不安定な人や学生さんなどは注意してほしい。
残念だと思った点は精神医療やこう言った問題の議論について日本がかなり遅れているように感じたこと。自分もメンタルクリニックに長年通っているがここに書かれているような療法を受けたことはないし(入院はしたことがないのであくまで外来治療)医師が自分を理解しようと努めてくれていると感じたこともあまりない。診察も5〜10分ひどい時は1分診療のような感じで薬の調整だけでおわり、自分の抱えている苦しみや辛いことを話せたことはほとんどない。初診は人気のクリニックだと数ヶ月待ちで、再診でも予約が混み合っていて辛い時に受診できなかったり、メンタルクリニックレベルだとカウンセリングはしていないところが多く、やりたければ自費のカウンセリングルームに行かなければならないが、一回あたりの値段が高くなかなか簡単には受けられない。いのちの電話にかけたことはないが繋がらないとよく聞くし、今の日本では外来患者レベルの人間の自殺を食い止めるシステムはあまり機能していないと言って良いのではないかと思う。
そもそも一般レベルで精神疾患や希死念慮を持つ人たちへの理解度が低い感じるので(そういった気持ちを抱いたことのない人には想像が難しいと思うのである程度はしょうがないとは思うが)まずはこの本が日本でたくさん読まれて、色々議論したり周りの人に目を向けてほしいと思う。