
amy
@note_1581
2025年11月4日
みちゆくひと
彩瀬まる
読み終わった
感想
彩瀬まるの家族の話…!彩瀬まるは女性同士や夫婦の話も多けれど、同時に家族の話も多い
今回の話もそうだけど、明確に問題がある親子関係の話(虐待やネグレクトなど)は少なくて、ある程度家族としての活動は滞りなく進んでいるのだけど、でもどこかしらに屈託があったり、ぎこちなさがあったりして、それとの向き合いやままならなさを細やかに描いている
別に家族を構成する誰かが、誰かのことを明確に憎んでいるわけでもない。むしろ家族のために、家族を構成する一員として果たさなければいけない役割に身を浸しすぎた結果として、微妙に家族のなかでズレが生じて、そのズレが居心地の悪さにつながる。
じゃあ、あのときどうするのが一番よかったんだよ!と言いたくなるんだけど、かといってやり直すことはできない。そのもうどうにもできない、けれど自分のなかずっとわだかまっているこの気持ちを無視することはできない。どうしていこうか、どう向き合えばいいのか。悩みながらもがきながら、痛みを伴うけれど誠実に自分を通して家族を見つめ直す作品だった。それでいて読後感に爽やかさやあたたかさが残っており、その読後感の炭酸水を飲んだあとのような心地が彩瀬まるの作品の良さだと思う


