チャモピーピーチャマ
@chu_berry
2025年11月5日
リベラルとは何か
田中拓道
久々に読んだ!自由主義(ブルジョワ中心の市場主義推進)→リベラル(再分配で機会の平等促進)→新自由主義(最低限の生活保障で経済活動の自由を保障)、文化リベラル(経済から多元的な価値に論点が移行)の系譜が簡潔に書かれていて助かる
文化的リベラルについての話題が興味深く、経済政策についての文脈でリベラルが推移してきた中で「多元的な価値」という新たな指標を持ってきて政治的主張を展開した点が面白いと思った。一方本文でも指摘があったが、多元的な価値(の実現のためのマイノリティへの再分配)は、本来リベラルが支えたかった貧しいマジョリティに訴求できないせいで広い支持は得られていない。
少数者保護を推進するために、あえて多数派に対して傾斜をかけないほうがいいという意見もおおむねわかる。しかし包括的な福祉を提供できるほど国は豊かではない。
あと20世紀ロールズ以降の現代リベラルの考え方も諸手をあげて賛成とは言い難い。価値の多元性に基づいて、個人が自由に自己実現を果たすことができる、そのために平等を推進すべきだという論のなかの、自分らしさや自由な選択というのが万人にあるとは思えない。人はそんなに自由で強い個人であり得ないと思う。人は生まれたての状態から唯一無二の個人であると思っていないし家族や国をはじめとする共同体の影響を強く受けて人格が形成されていく。これを取り払ってまったぅゼロになってアイデンティティを頭で構築してくださいというのは無理がある、中立であるという価値観の押し付けに繋がってしまうのでは?


