めい "一次元の挿し木" 2025年11月6日

めい
めい
@meiji_chan
2025年11月6日
一次元の挿し木
一次元の挿し木
松下龍之介
ミステリはとにかく驚かされたいし騙されたい。ずっと話題で、ずっと高評価で、ずっと面白そうで、ずっと気になっていた作品にしては………。 タイトルと表紙が「大ヒント」すぎて、数ページ進んだ時点で色々わかってしまって、その後はずっと回収。 ロマンティックなモチーフやなんだか芝居がかった言い回し、「それ必要?」と思うような容姿の良さを褒める描写や性と色香を匂わせる場面に、ラノベとまではいかないけれど、著者の「癖」を感じてしまった。新海誠作品の主人公が突然ヒロインを呼び捨てにした時の興醒め感に近い(それでもこの小説の方がだいぶマシだし、ずっと品がいい) でも、複数の謎が綺麗に絡んで、それを一つずつ自然に解いていく展開は鮮やかで、上手だな…と思うし、結末は美しくて尻窄みにも感じなかった。それに遺伝子研究という分野の危うさはいつか実際にこういう出来事を招くかもしれない。ミステリというより近未来SF的な構え方で読めばもっと近く、面白く味わえたかもしれない。
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