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2025年11月6日

巡礼者たち (新潮文庫 キ 12-1)
エリザベス・ギルバート
読んでる
まだ読んでる
短小説でなければ書けないことがある。
何を語ろうとしているのか、何処へ向かっている物語なのかが読んでいる最中にはわからない短編小説というのがある。人生の一片をそのまま文章にしたような短編小説。そんななかでも(にこそ)感動や気づきが、喜びや不安、哀しみがあって、自分を省みたりもする。わたしの「知らなかったこと」も思ってみたりもする。そうこうしているうちにいつのまにか一編読み終っていたりして。
当然のように、人生のように、解決もしないし答えも出ない短い物語。それでも、そこに描かれていた自分とは離れた土地で送られるまったく違う人生が、それを描いた小説が、少しだけ分かったような気にもなっている。それをきっかけに、あるいはヒントにして、自分の人生を思い考え、少しだけ哀しくもなってくる。文庫本に指を挟んだまま、数分の時間が経っていたことに気がつく。ああ、と思いながら、哀しみと分からなさ、あと不安も感動が包み込んだようなため息をついて、こんな文章を書いてみる。
思いがけず短いスパンで訪れることになった父親の墓のある山の霊園のベンチにて。かわいい犬のピンと一緒に。もう随分肌寒くなってきた。


