
青甲羅
@ao_coke
2025年11月3日
国宝 下 花道篇
吉田修一
読み終わった
映画で見るよりも、喜久雄が人間っぽくて良かった。
舞台に魅入られて呪われている人である一方、そのために何でもかんでも捨てていったわけでもなくて、彼なりに周りの人間を大切にしたりしていたし、彼の周りの人たちもそれを理解しているように思った。
誰の手にも届いていないものをずっと求めるような人生だけど、映画で見たよりも幸福そうな印象だった。
「彼の俳優としてのキャリアと彼の周りで起こった不幸を並列して、さも関係があるように語るのはどうなの?」という自己批判っぽい視点もちらっと書かれているのも、良かったと思う。
血縁だなんだ襲名だなんだって、人間が作った呪い、人が作った慣習なのに、それらと遺伝性の病気を重ねるのってどうなの?とは少なからず思っていたので。