やえしたみえ "菜食主義者" 2025年5月31日

菜食主義者
菜食主義者
きむふな,
ハン・ガン
人生初韓国小説。面白くてどんどんと読んでしまった。息が詰まるような、胸糞悪い描写が多いが、不思議と読後感は嫌じゃない。静謐で淡々とした描写は非常に好ましい。 特に「蒙古斑」が好きだった。(人によっては一番ダメかもしれないが) クリエイターとして、作りたいもので支配され、それを作りたくてたまらないという葛藤、そしてそれが成就した時の果てしない悦び……。特にどこか冷めていて、熱狂に混ざれない中で作品を作り続けていた彼にとってどれだけ強烈な体験だっただろう。 それに匹敵するのは子供が歩き始めた時、「足元から植物を生やそうか」といったときぐらいだろう。 私も熱狂に混ざる才能がない創作者でオタクで人間で、とにかく何してても当事者である才能がない。だから彼の悲壮がわかるのだ。でも彼は自身の作品に無意味に「鳥」を入れる。それが何を意味しているのか。彼は羽ばたきたかったのか。自分ですらわからない自我の断片。 とにかく美しい作品だった……。
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