
タイヤキ
@taiyaki_r03
2025年11月10日

骨を彩る (幻冬舎文庫)
彩瀬まる
読み終わった
何かしらの死に触れている人々が少しずつ重なり合い登場する短編集。
表紙の、銀杏の葉が散るイラストを見て、祖母が亡くなった時のことを思い出した。ちょうど、葉が降り積もって絨毯ができる時期で、遺された木の幹と枝が、血肉を失った骨みたいだと感じた記憶がある。その年以降は、黄色に染まった銀杏の木を見ると祖母のことが頭に浮かぶようになった。
皆、誰かがログアウトしたあとの世界を当たり前に過ごしているのだ。
母を小さいころに亡くした小春が、周りの大人から気を遣われることに嫌気が差していて「普通でありたい」と願うように。
なにか言葉にするには形にしづらいが、確かに胸に迫るものがある静かな物語。
