骨を彩る (幻冬舎文庫)

5件の記録
- amy@note_15812025年3月15日かつて読んだ感想「喪失」をテーマに描かれた連作短編集。彩瀬まるさんの文章やテーマがことごとく好きで、著作を読めば読むほど好きという気持ちが膨らむ。どうして、こんな生きていくうえでのやるせなさとか切なさとか日々数滴垂らされる幸せみたいなものを書くのがうまいんだろう。 何かを「喪失」するときって喪失したくてするわけじゃない、どうしようもないものに奪われることもあるし、なんか微妙に歯車が噛み合わなくて喪失しか道がないときもある。 そしてもともと持っていたものを喪失するだけじゃなくて、自分がもともと持っていなかったもの、喪失した状態がデフォルトだったときもある。 でも生きることとか人生って何かを失ってくことだよなあ…。 得たものよりも失ったもの持てなかったものに視線がいきがちになるのはどうしたって仕方のないことで、そういう部分を否定せず、だからといって称揚もしない。 それでいてどうにかこうにか生きていくことを書いていて、うっすらと希望を見せてくれるところが彩瀬まる作品の好きなところだなあと思う