"オリーヴ・キタリッジの生活" 2025年11月11日

蛍
@bcgcco
2025年11月11日
オリーヴ・キタリッジの生活
オリーヴ・キタリッジの生活
エリザベス・ストラウト,
小川高義
タイトル通り、オリーヴ・キタリッジをめぐる短編集。主人公になったり端役になったり、回想にだけ登場したり、あらゆる人物からオリーヴが描かれる。このオリーヴが何か痛快な解決策をもたらしてくれるとか金言を授けてくれるみたいなのとは全くなく、むしろ厄介者なオリーヴが年老いて行く様をさまざまな角度から見て行く。不思議と回を追うごとにオリーヴが好きになり、その悲しみや不器用さ、ひとまとめにすると人間臭さがなんとも切ない。驚くのは心理描写で、アメリカ作品にも関わらず、感情の起伏が日本人としても共感でき、しかも言語化がとても上手い。意識したことなかったけど、そう言うことってあるよな、と何度か文章を反芻した。言い回しも綺麗で、舞台となった架空の街が想像の中で美しく浮かび上がった。
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