
蛍
@bcgcco
内田洋子さん、東海林さだおさん、平松洋子さん、池波正太郎さん、今村夏子さん、アガサクリスティあたりが好きですが、ビジネス書や新書なども読みます。
- 2025年5月22日惑星語書店カン・バンファ,キム・チョヨプ気になる
- 2025年5月19日すべての、白いものたちのハン・ガン,斎藤真理子読み終わった初のハン・ガンさんの小説、エッセイなのか小説なのか曖昧なまま読み進めた。 一人称も曖昧で誰が誰の話をしているのか不安定だけど、ちゃんとそこに理由があったのか。 解説も踏まえて、この小説をもって姉の弔いとしたかったのかな、と感じた。 祈りの色である白にまつわる物語を追憶することで、姉妹としてもしくは一人の個人として人生を共有しようとしたのかな。 読者に向けた本というより、作者自身のケジメとか儀式のための本って感じがした、けど、文章が詩的で読んでいて心地よかった。 わたしはどうしても産まれて間もない息子に初めて光がさした日のことを思い浮かべてしまったな。 個人的に、謝辞で書かれていた「学校から帰ってくると、自分がその日見た白いものについて話してくれた二〇一四年秋の息子にありがとうと伝えたい。」という一文が愛に溢れていて好き。
- 2025年5月9日BUTTER柚木麻子読み終わった誰のための料理なのか、という問いは身近でありつつも人生に繋がるものだ思った。 カジマナが作りたい相手に恵まれなかったのに対して、主人公は愛する皆のために苦労に苦労を重ね料理したい、と締め括ったのが、そうだよな、それでこそ人生だよな、と共感。同じ道を辿るのかと思いきや何が何でも死なない、生きてみせるという根性にもぐっときたし、私は好きな結末だったなあ。 料理というものが持つ意義をどう捉えているかによって、結末の納得度合いは違ってくる気もする。
- 2025年1月16日82年生まれ、キム・ジヨンチョ・ナムジュ,斎藤真理子読み終わったフェミニズムの教科書のような本。 女性が生まれながらに受ける大小あらゆる差別について、共感する点が多い。そういえばあれも…なんて思い当たることもあって、それまで性差別であり理不尽な出来事だったのだと気がついていなかったこともあった。女性の味方が女性であるわけではないところもすごくわかる、男性社会の中で生きるうちそちらに迎合してしまう男まさりな女性は多い。自分にもそういう一面がある気がして、どう考えたら良いのだろうと問いを残す終わりだった。
- 2024年11月20日読み終わった食への意識の低さから他人に劣等感を抱くふたりの話。主人公は食べること、その為に手間をかけ他人に美味しいを強要することが許せないくせに、あたかもそういう人間のように振る舞って生きているところが矛盾というか、本当はそうあるべきと思っている節がある。対して同僚の女の子は自分が嫌なことに対して悩んで自分なりの答えを導く強さを持った人物として描かれていた。結局何を変えることもせず偽って生きている主人公は語る資格もないんじゃ無いか。彼女のやたらと食べさせようとする女性も恐ろしい。そうすることでしか自分の存在意義を見出せないようで、他人に尽くすことを生き甲斐としている。弱いようで自分を押し付ける強さを持った厚かましい奴なんじゃなかろうか。 しかしながら美味しいものを食べさせたいという思いは愛だとも思うので、主人公は愛を知らない人物として描かれているのかもしれない。押し付ける愛、理解する愛、傷つける愛、は愛では無いけど。
- 2023年10月3日羆嵐吉村昭読み終わった伝説の熊撃ち銀四郎の人並外れた人柄と対峙する羆の不条理なほどの残虐性とがうまいバランスで描かれていて風景描写もうまい。 居住地を開拓するという、そこにいる動物からすればテリトリーに足を踏み入れられるに他ならない行為が今回の事件を生んだわけだけど、そうとわかっていても人間の無力さ、非力さに震える。 後半の対決が手に汗握る展開、面白い。
- 2023年9月15日母ではなくて、親になる山崎ナオコーラ読み終わった子育てに対する不安、見方が少し変わった。 日々進化する赤子を観察するだけでも、よく言われる1ヶ月目の苦労は少し楽になるんじゃなかろうか。 また、ナオコーラさんが感じる当たり前に対する違和感に確かになと思えたのと、その違和感に気づく前と後では子育てに対する姿勢や捉え方も変わりそうだと思った。 この妊娠9ヶ月目というタイミングで出合えてよかった作品。
- 2023年8月24日わたしを空腹にしないほうがいい 改訂版くどうれいん読み終わった日記を色んな形式、たとえばスマホ、ブログ、紙などで散り散りに書いているという話を見て、なるほど、そんなのでいいのかと目から鱗の気分だった。 これに倣うとあんなに続かなかった日記がなんだかんだと続けられている。 気を楽にさせてくれる、書くっていいなと思わせてくれる身近な文章だった。
- 2023年5月15日コンビニ人間村田沙耶香読み終わった小説や映画を見ていて、「普通」のハッピーエンドを無意識のうちに望んでいる気がする。 普通であることで安心し、いい気持ちになれる。それは共感しやすいと言うことでもあると思う。 このコンビニ人間=恵子は、コンビニの店員であることこそが人生であるとラストで気づく。 アルバイトで一生を終えることは、一般的にみてアウトだ。なぜって、安定した経済力が見込めず、社会的な保証もほとんど受けられないから。 でも、一方でそんな普通の人々を支える存在としてコンビニがあり、そこで働く人々に救われている。恵子がそれでいいと心底思っているのに、何を反論できるだろう。 なんとなくヤバそうな人に対する外野からの反応は、私がとる反応に近いだろうし、恵子的な人に寄り添える気はしない。型にはまった生き方以外、多様性として認められないのだろうか?普通とは?色々と考えさせてくれる一作だった。
- 2023年5月2日木になった亜沙今村夏子読み終わった■的になった七未 ドッジボールで、ボールが当たらなければ生き残ることができるのに、一方で忘れられたような、仲間はずれにされているような寂しさや不安感を覚えたあの感覚を覚えている。 七未も、当たった側にいけないことを恐れ、我流のおまじないのようなことを始めてしまう。 仲間に入ること、認められることの難しさや、そっち側ではない人間の生きづらさをいつもの不穏な世界観の中描いた作品。結局救われた、彼女の戦いが終わったのは亡くなった瞬間、生前は誰からも求められない苦痛を味わったままだった。 しかし、時には救いの手を差し伸べてくれた人もいたのに、それに気が付かず拒んだのは七未自身だ。他者からの愛情や接し方がわからないのに愛を求め、自身の思い込みであらぬ方向へ突き進む姿はまさに今村夏子という感じ。 他者もまた、口では励まし応援するものの、本当の意味で救おうとはしていない様がなんとも嫌な気分にさせてくる。
- 2023年3月8日新版 思考の整理学外山滋比古読み終わった「頭をよく働かせるには、この"忘れる"ことが、きわめて大切である。頭を高能率の工場にするためにも、どうしてもたえず忘れて行く必要がある。 忘れるのは価値観にもとづいて忘れる。おもしろいと思っていることは、些細なことでもめったに忘れない。価値観がしっかりしていないと、大切なものを忘れ、つまらないものを覚えていることになる。」
- 2023年2月24日満潮に乗ってアガサ・クリスティー,恩地三保子読み終わった殺人事件が起きるまでに1/2ほどを費やすかなりドラマに力を入れた作品。 一族の人間模様が描かれているため最初登場人物が多すぎて混乱するが、理解するとそれぞれのキャラクターが立っていて読みやすくなる。 そして起こった殺人は未亡人かと思いきや突然現れたユスリ屋。すぐに第二、第三の殺人が起きる怒涛の展開。読む手が止まらない。
- 2023年2月7日居酒屋の誕生飯野亮一読み終わった・江戸時代、居酒屋1店舗あたりの人口が現代とほぼ変わらない ・元々は酒屋だったものが、田楽などツマミを振る舞うようになって居酒(いざけ)となった。 ・昔はマグロが下品な魚とされ、安く売られていた。ねぎまと呼ばれるネギとマグロを甘辛く煮た肴が居酒屋で広く提供されていた。今でも東京のマグロにかけるお金は他エリアより高い。 ・江戸時代も下戸は割り勘に対して不服を言っていたようだ。 江戸時代の大衆文化の一部を知ることができた。 食への飽くなき探究心は今にも通じるものがあるし、変わっていない。 いつの時代も求めるものは同じなんだと感じる。
- 2023年1月10日読み終わった古本市でも見つからず、Amazonなどでも売っていなかった本がやっとAmazonのマーケットプレイスに出品されていたので購入。 中年になってから書かれたものなので、前半はいつもの東海林さん節の学生エッセイだが、後半に進むにつれて苦しみやどうしようもなさがひしひしと伝わってきて辛くなってくる。 その後随筆家兼漫画家として活躍されている状況を見るとどこかで上向くことはわかっているものの、学生時代が悲惨でハラハラしてしまう。 特にラストの「漫画行商人」はうるっとさえさせられる。 そうだよな、新しい何かを始めるって、認められるのって、これだけ辛く苦しいものなんだよな、と共感しつつ、過去の話とは思えないくらい鮮明な描写に唸る。 解説も秀逸。青春ってこういうものか、たしかに、そうかもしれない。
- 2022年12月13日ポアロのクリスマス (クリスティー文庫)アガサ・クリスティー,村上啓夫読み終わったクリスマスらしい本を読もうと思って久しぶりのポアロ。 やっぱりこの古めかしく、劇場型殺人事件は良い。 犯人も全く覚えてなかったけど、全く予想外の犯人でたのしめた。
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