羽根໒꒱ "ミーツ・ザ・ワールド" 2025年10月25日

羽根໒꒱
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@feather_
2025年10月25日
ミーツ・ザ・ワールド
主人公の由里が消えたいキャバ嬢のライと出会ったことをきっかけに自分と真反対の個性や価値観を持つ人たちと出会い会話する中で理解はできなくてもそれらに寄り添おうと奮闘しつつ、自分の内面を振り返る物語 特に印象に残ったシーンは韓国料理屋のシーン。 読んでいて感じたモヤモヤを別の状況で自分も体感したことがあったから、その後の由里さんの発言にはすっきりしたし、自分もはっきりと言葉にすれば良かったとずいぶん前のことなのにほんの少し後悔した。 私という人間を判断するのに、人との関係とか親とかそういうものを大きな基準にして欲しくないし、私が誰と仲良くして誰と暮らしていようが、相手に迷惑がかからない限りはある程度は関係ないと思う。私だけを判断したとして、もし理解のできない部分があるなら、私との関係を望む限りは無視しないで理解できなくても寄り添う努力をして欲しいし恋愛でも友達関係でもどんな関係でも、相手にはちゃんと私自身を見て判断して欲しいと改めて思った。また自分も相手にバイアスをかけて見ないよう心掛けたいし、対話する努力を自分もちゃんとしたいと思う。 韓国料理屋のシーンに限らず、この本には定義すること、されることの迷惑さとか苦しさ辛さについてすごく考えさせられた。 誰もが無意識にしていることで、気づかないうちに隣にいる大事な人を傷つけたりしているのかもと思うと怖いけれど、それでもどうしようもなく願ってしまったり思ってしまうこともあって本当に難しい。 人物についても、由嘉里さんの変化に驚いた。 どこがと言われるとはっきりと言い切るのは難しいけれど初めと終わりとでは明確に変わっていて、韓国料理屋のシーンでそれを1番に感じた。初め憂鬱で窮屈そうだった由嘉里さんが、最後には少しダサいのかもしれないけれど真っ直で読んでいて眩しかった。 そして時々挟まれるアサヒさんや由嘉里さん、ユキさんの会話や行動の面白さが読んでいてすごく幸せだった。特に最後の方の焼肉パーティーのシーンで油っぽくなった床をツルツル滑るところは、読みながら笑いを堪えるためににやけてしまうのを止められなかった。 もっと大人になってから読み返したら全然違う感想が出てきそう。 何年後かにもう一度開きたい一冊。
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