トロス
@tip_tap_top_50
2025年11月11日
君のクイズ
小川哲
読み終わった
クイズの問題文が読まれる前に正解したという謎を追い求めるストーリー。
『十分に高度な科学技術は、魔法と区別できない』というのが本書のテーマの1つであると思う。つまり、『説明のつかないものは魔法に見える』ということである。
主人公三島は謎を不正によるものではなく、技術による理解を追い求める。
その手段として"クイズ"を分解し、要素を"技術"として説明のつくものに落とし込んでいくが、その過程で明らかになる三島の情熱や人間性こそが本書の魅力であると感じた。
一方で、あらゆることがクイズを起点とするため、蘊蓄やクイズ競技者の技術や思考が多分に差し込まれる。これを冗長あるいは縁遠いと感じる人には三島の情熱との一体感を楽しむことは難しいかもしれない。
一般に、クイズプレイヤーが行う問題の冒頭で回答する行為も非プレイヤーから見れば十分に魔法的である。それらが実は技術であると知ることで日々のクイズ番組を少し異なる視点から見させてくれるかもしれない。




