
Anna福
@reads--250309
2025年11月12日
小さな神のいるところ
梨木香歩
読み終わった
作者の鳥や自然への眼差しは、バーネットのエッセイ『わたしのコマドリくん』を思い起こさせる。
小さな存在に宿る神秘を丁寧に掬い上げる姿勢が共通している。
さらに『コロボックル』の記述から、幼少期の私の世界を支えていた今は無き家の庭を思い出す。丸い大きなツツジの木の下に隠れてコロボックルを探した。どんぐりを拾い垣根の紅椿の蜜を吸い、池に笹舟を浮かべた記憶が蘇り、切なさが胸に広がる。
こうした個人的な記憶と重なり合う事で、近年の気候変動によって「小さな神様」が次第に姿を消し、人と自然との関係が遠ざかっていく事への痛切な思いが、頁を重ねる毎に響いてくる。
その憂慮が繰り返し綴られているのが印象的であった。
登場する小鳥達の姿や鳴き声、植物を調べながら読むのは楽しかった。




