
高山碧瑶
@uya_20250906
2025年11月12日
楢山節考
深沢七郎
読み終わった
『楢山節考』を読むために借りて読んだ。
正宗白鳥が「私は、この作者は、この一作だけで足れりとしていいとさえ思っている。」と発表年に評していたそうだ。
この小説は姥捨という風習を受け入れる主人公と仕組みの一部として回っている山村の社会をどこまでも冷静に描写している。ところがこの一見近現代のヒューマニズムとは対極にあるようなストーリーになぜか私は人間らしさを感じた。
舞台となる山村は食料に乏しく、米は白萩様と呼ばれ祭りのときや重病人が出たときにしか口にできない。冬になれば食料の心配をしなくてはならない厳しい生活のなかで村人たちは労働し、子を産み、なかには盗みを働くものもそれに制裁を加えるものもいて、祭りを執り行い、姥捨をする。この営みの力強い描写に作者の人間讃歌が隠されている。

