やえしたみえ "土の中の子供" 2025年11月13日

土の中の子供
土の中の子供
中村文則
良かった……。やはり自己の内面に内面に潜り込む小説、すごく好きだ。それは周囲から見た客観的な状況だとか、ただひとつの真実だとか、そういうんじゃない。自己の感覚だけに意識を研ぎ澄ませて、己というものにひたすら耳を傾けること。 なんだか読んでいる感じがヘッセに似ている。勿論文体とかは全然違うんだけど、読んでるときの感覚が似てる。 「ただ……、優しいような気がしたんだ。これ以上ないほど、やられちゃえばさ、それ以上何もされることはないだろう? 世界は、その時には優しいんだ。驚くくらいに」(p.109) この台詞がとてもよかった。 あと併録されている「蜘蛛の声」もかなり良かった。ファンになるかも。
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