
ゆう
@yu_32
2025年11月13日
湯気を食べる
くどうれいん
読み終わった
雑誌や新聞の連載をまとめて、書き下ろしをどっさりと贅沢に加えて書籍化したエッセイ。
食を大事に愛しているくどうれいんさん。
今作も美味しそうなエピソードがずらり。
時にみずみずしく、時にほろ苦いエピソードはどれも個性豊かな味をしている。
そして今作『湯気を食べる』、れいんさんの心や人生に生まれた新たな余裕というか余白が、とても良い方向に滲み出ていると思う。
以前の、少し尖った書きぶりもれいんさんの持ち味として良かったけど、今作の読みやすさ、心地よさは格別。
安心して、というと変だけど、れいんさんが語る食べ物や料理の美味しさに100%集中できる。
私はれいんさんの食べ物への、愛に溢れたまなざしが大好きなので嬉しかった。
厳密に言うと、私の方がいくつか歳は上なのだけど、同世代の方が文章の世界の第一線を走っていて、食べ物の描写が当代一だなんて、何とも嬉しいことである。
食べ物じゃなくて情景からだって香りがこちらに伝わってくるもの。最高です。
言葉やエピソードの選び方や表現が少しマイルドになっていて、少し余白ができている気がして、私は好きだなぁと思った。
でもれいんさんはどこまでもれいんさんで、本人は「真っ直ぐ」と言われるのを嫌がるかも分からないけど、真っ直ぐな人に変わりなかった。
そういうところが好きで、時に嫉妬すらするけど、いつまでもその真っ直ぐさはれいんさんの中に、れいんさんがどう思おうとも輝いていてほしいと思う。
お腹が空いてきた。食べるっていいな。









