
たまのきゅうか
@yutomsm
2025年11月14日
狭き門
アンドレ・ジッド
読み終わった
@ カフェ
p.248〈夕闇は灰色の潮のようにさしてきて、一つ一つのものに迫り、一つ一つの物をおぼらせ、そして、それらのものは、影の中でよみがえり、低い声音で、過ぎ去った日のことを物語ってでもいるようだった。わたしは、ジュリエットがすっかり道具を運ばせてきている、かつてのアリサの部屋を思い浮かべていた。ジュリエットは、いま、わたしのほうへ顔を振り向けていた。その顔立ちも、もう見分けられなくなっていて、あるいは目を閉じているのではないか、はっきりしたことはわからなかった。とても美しく思われた。そして二人は何も言わずにじっと黙っていた。/「さあ!」と、とうとう彼女が言った。「目をさまさなければ……」〉

