狭き門

狭き門
狭き門
アンドレ・ジッド
新潮社
1954年8月3日
9件の記録
  • p.248〈夕闇は灰色の潮のようにさしてきて、一つ一つのものに迫り、一つ一つの物をおぼらせ、そして、それらのものは、影の中でよみがえり、低い声音で、過ぎ去った日のことを物語ってでもいるようだった。わたしは、ジュリエットがすっかり道具を運ばせてきている、かつてのアリサの部屋を思い浮かべていた。ジュリエットは、いま、わたしのほうへ顔を振り向けていた。その顔立ちも、もう見分けられなくなっていて、あるいは目を閉じているのではないか、はっきりしたことはわからなかった。とても美しく思われた。そして二人は何も言わずにじっと黙っていた。/「さあ!」と、とうとう彼女が言った。「目をさまさなければ……」〉
  • p.186〈それは霧のない地平線にかけてすべての物が微細な点までひとしく青みがかって見わたされ、過去の日のきわめて取りとめのない思い出まではっきり思い起こせるような、澄みわたった秋の夕暮れのことだった〉 全部抽象的な描写で読ませるからすごい。 隣の席でじいさんがドトールのコーヒーを「ああ、おいしい」と呟きながら飲んでいる。アリサはこういうじいさんにアガペーを与えていたのだろうか。
  • p.164-165 「わたし、あなたのおそばにいると、もうこれ以上幸福なことはないと思われるほど幸福な気持になりますの……でも、じつは、わたしたちは、幸福になるために生まれてきたのではないんですわ」 「では、魂は、幸福以上に何を望むというんだろう?」と、わたしは性急に叫んだ。彼女は小声でつぶやいた。 「聖らかさ……」
  • 鳥羽和久さんの『光る夏』のパリの章のプロットの元になったのだそうです。
  • ジジ📖
    ジジ📖
    @gg_books
    2025年6月24日
  • Cat
    @Cat
    2025年3月23日
  • いん子
    いん子
    @inko1908
    2025年3月8日
  • Aqu4
    Aqu4
    @aqu4
    2025年3月6日
    以前読んだ時は、もはや現実感のない作品だなとか思ってしまったのだが、最近何故だかこの作品のことがやおら気になり始めている。なんとなく自分の中で一つの参照点のようなものになりつつあるというか。もう一回読み返して見たい。
  • 湖上
    湖上
    @l_etranger
    2025年1月1日
読書のSNS&記録アプリ
hero-image
詳しく見る
©fuzkue 2025, All rights reserved