
花木コヘレト
@qohelet
2025年11月14日
読み終わらない本
若松英輔
読み終わった
図書館本
来週の読書会で若松英輔さんを紹介したいと思っているので、集中的に、この四日間で三冊、若松さんの著作を読んでいます。
でも、若松さんを読んだことがある方はご存知と思いますが、彼は特に読書において量より質をとても重視しています。なので、読書会のためとは言え、急いで読んでいる私の態度を、私自身が「ああ絶対矛盾だ」と思っていました。
なので、書かれるだろうなとうすうす思っていた、急いで本を読むことを戒める言葉に、ちゃんとぶつかりました。
「多読すればするほど、読まれたものは精神の中に、真の跡をとどめないのである。」(『読書について』ショーペンハウエル)
ああ、やっぱり言われた、でも言われないより言われて良かった、と多読の罪を指弾されて安心しています(笑)
若松さんの言葉は決して難しくありません。しかし、難しくはないがゆえに、ゆっくり味わって読まなければ見落としてしまう言葉がたくさんあります。しかも私は(ほぼ)完全図書館派なので、ひとまずこれで本書ともお別れです。若松さんの魂の言葉をすっ飛ばすという、いやあ大罪ですね。反省です。ただ、それでも二つだけですが、金言を拾えました。
一つ目は、「人は、知らない、分からないと感じたとき、ほんとうの意味で学ぶという本能に、小さく明かりが灯る。」(p69)という文章。これは僕には完全に当てはまります。僕が本当に読書したいと思ったのは、社会人になって随分経ってから、「もう学校に行って勉強することってないんだ」という当たり前の事実に愕然とした時のこと。その時、「勉強したい!」と思いました。それから読書が、必然であるとともに、同時に楽しくなりました。僕の場合も、失ってから気づくという、お決まりのパターンです。なので、この若松さんの文章を読んで、もっと読書したくなりました。ありがとうございます。
二つ目は「むずかしいものを読めるようになってくると、人は、ある難解さがないとそれをほんとうのことだと感じなくなる。」(p76)という文章。これも深く頷きました。だから僕は若松さんの本が本当だと思えないという、深い病を抱えているんです(笑)でも、そのお陰で、やさしい言葉で書かれた文章ほど、逆に丁寧に読むクセがついてきました。だから現在は、岩波ジュニア新書とかを、逆に手に取りたくなりますね。本書も、多分主な読者層は中高校生だと思うんですが、読むのは急いでいるんだけど、気持ちは非常に頭が下がる思いで読みました。
と言うことで、本書は、中高生向けでも、若松節の炸裂した良書だと言うことになります。簡単ですが、この辺で。


