
うゆ
@otameshi_830
2025年11月15日

大鴉の啼く冬 ペレス警部シリーズ (創元推理文庫)
アン・クリーヴス
読み終わった
透明なグラスに静かに水が注がれてゆきいつかそれは盛り上がり限界に達して溢れ出す。その瞬間に起こることが殺人という場合もあるだろう。閉ざされた社会に生きる閉塞感というだけでは表せない。鴉の顛末が示唆するように、檻から出れば自由に羽ばたけるはずなのに、実際にはそこから離れては生きていけない。外の社会に一歩踏み出せば起こらなかった悲劇もあるかもしれないが、一度外に出た人間も誘い込まれるようにまた戻ってきてしまう。謎解き役のペレス警部も事件関係者の輪の外側に居るのではなく内側に在るところが良い小説だと思いました。
出禁のモグラの八重ちゃんの里帰りエピソードを思い出してしまった。
シリーズ全部買ったので読んでいくのが楽しみです。


