
Anna福
@reads--250309
2025年11月15日
クネレルのサマーキャンプ
エトガル・ケレット,
母袋夏生
読み終わった
幕の内弁当の様に多彩な短編が詰まった一冊。
乾いたユーモアと死が同居し日常と非日常の境界を崩す構造が魅力。
翻訳がスタイリッシュで読みやすい。
表題作、自殺者ばかりが集う“あの世”は現世と殆ど変わらない日常生活の中、(恐らく自爆テロ)死のアラブ人バーテンダーとの皮肉な会話等が宗教的約束や死の意味を揺さぶる。
チャーミングな話「でぶっちょ」「きらきらぴかぴかの目」、犬の愛「トビアを撃つ」愛嬌や切なさ、重たい愛情等作品毎に鋭いキレと異なる余韻。
天使男の顛末「壁の穴」、出エジプト記の災いの一つをモチーフにした「長子の災い」神の裁きよりも恐しいのは。
寓話の反転が最高だ。「まこと、ヘブライの神は残酷だ」

