
ほんのうに
@bk_urchin
2025年11月16日

青い壺 (文春文庫)
有吉佐和子
読み終わった
@ カフェ
青い壺が、作られてから十年間様々な人の手に渡り、そこで起こる人間模様を描いている連作短編集。
昭和特有の(?)歯に衣着せぬ物言いが、読んでいて気持ちがいい。(ストレートに伝えているけど、相手がそれを受け入れるかはまた別なので、遺恨が残らないような)
印象に残ったのは…
第七話 戦時下の食糧難の中、裕福な家庭の夫婦が想像の中でフルコースを食べる。戦時下の統制で渇いていた体に贅沢が油のように染み渡ることで、心が晴れていく様子が描かれている。
第十話 とにかく姦しい老婦たちの同窓会旅行。"行く前は不安だけど、行ってみたら(文句はあっても)楽しい"は時代問わず万人共通なんだな。
第十二話 病院の清掃婦が、患者の見舞い花から枯れそうなバラをもらい、乾燥させて、バラの花の枕を作る。狭い寝室の中の枕の甘い香りが伝わってくるような描写が印象的。
生活、仕事、文化、人間がどの話の中にも詰まっていて、読み応えのある小説だった。

