
hina
@hina
2025年11月17日
人魚が逃げた
青山美智子
読み終わった
感想
ネタバレあり
自分用
(感想・ネタバレあり)
1、恋は愚か
主人公の友治がりよさんを本当に心から恋していて、好きすぎて神格視してる雰囲気あるのがもはや可愛かったな。こんなに誰かに思って貰えたら幸せだろうなと思った。友治元芸能人でイケメンらしいし。
王子の言葉を聞いて「相応しいとか釣り合うとか、そういうのを決めるのは自分ではなくて相手」って言うことに気がついて、これまで金持ちの12こ年上の彼女のために必死に取り繕ってきたのをやめる決意をした流れ、王道だけどかなり良かった。
けどさすがにその日暮らしの人間がティファニーで買えるものはないと思うぞ
2、街は豊か
主人公の昔を懐古するところ、結構すきだったな。娘を海外に出すのが不安な母親が、王子に会ったことで応援に回るっていう流れも王道だけど結構感動だった。母にとっては20歳でも心配したい娘っていう文が好きだった。
3、嘘は遥か
1番好き!喉から手が出るほど欲しいと思った絵と別れた妻の形見の、壊れていて実用性もないし価値もないアンティークの時計を天秤にかけて、時計を手放さなかった展開はかなり意外だった。流れ的に形見を捨てて前を向いて生きていこう!みたいな話だったのに。
まぁ感動系みたいな雰囲気出してたけど、絵をコレクションするために夫婦の共同通帳にまで手を出した主人公は普通にきもすぎるけどな、奥さんはその後の喧嘩で言われた言葉に傷ついて別れをきめたみたいな書かれ方やったけど普通に使ったらあかんお金に手を出せる旦那とか無理やろ。キモすぎやわ
こいつがアンティークの時計を手放そうが肌身離さず持っていようが再び2人が結ばれることは多分無いんやけど、自分にだけ感じられる値打ちと思い出とともに生きていくことに決めた主人公の心情がとても綺麗で心引き込まれた。
4、夢は静か
ほんまに全然覚えてない。陰キャ小説家と陽キャ奥さんがお見合いで出会って結婚するというまあまあありえない話やった。けど唯一共通の趣味であるドラマ鑑賞でなんとなくの感性で絶対に世間に流行るドラマを見分ける才能をもつ奥さんが、この主人公と結婚した理由が「なんとなく面白い人生になりそうだったから」っていうこのオチがめちゃくちゃ良かった。
5、君は確か
1話のりよさん視点の話。りよさんが友治を推しとして見ていたっていう事実はまぁ最近っぽい内容とはいえ要らなかったかなと思う。友治からみたりよさんとイメージが違いすぎてなんかちぐはぐな感じがした。結局お互い猫かぶってたって話なんだろうけど。
後輩ホステスの紗奈ちゃんが王子の探してる人魚だった!みたいな流れになった時、えぇありえねーなんか最後で興ざめだなぁと思ったけどミスリードで全然違う結末だった。結婚式でがち王子コスプレはさすがになしと思っていたので紗奈ちゃんの相手はちゃんとタキシード来てる男性で良かったです。
基本的に現実にとんでも幻想ワールドが登場する展開苦手なんやけどこの話はそこまで嫌悪感なく読めた。とはいえやっぱり絵本の中の住人も私たちが読書をするようにこちらの世界に来ることがある、っていう世界観はちょっと受け入れ難かったかな。
浦島太郎とかラプンツェルが出てきたのは気づかなかったので読み終わってから探すのが面白かった。お互いの話に別の主人公も登場している描写があったのが本当に個々の人生を垣間見ているっていう感じがして良かった。
物語を最後まで読まないと展開は分からないを地で行く物語だった。最後の最後で、実は紗菜ちゃんの彼氏も姉ではなく紗菜ちゃんが初恋だったってわかるシーンがこの本で1番好きだった。あきちゃんがいいお姉さんで良かったな〜絶対妹が作った花冠を自分が作ったことにして男の子に近づいたんだと思ったもんな〜〜〜ハッピーエンドすぎてほっこりだった