
rina
@r_1_n
2025年11月10日
13月のカレンダー
宇佐美まこと
読み終わった
原爆について、資料や本から知識を得てそれなりに理解を深めた気になっていたけれど、まだまだ浅かったことを教えてくれた小説。
被爆者に対する差別はよくないとある意味簡単に怒れてしまうのは、あの日あの場所にいなかったうえに身内に被爆者がいないからこそなのかもしれないと思うと心底苦しかった。
助けてもらって当たり前の人たちが黙らざるをえなかった現実。黙らせてしまった社会のあり方。
原爆は目に見える傷だけじゃなく、目に見えない傷を体の中にも心の中にも残した。
今、そうした貴重な声を届けてくれる人たちの高齢化が進み、語れる人がどんどん減っている。じきにいなくなってしまう日が来る。
そんな時、力を持つのはこうした良質な文学なのだと思う。
「喜代が子どもだった頃、戦争が起こっても何もできず、ただ黙って殺されていくしかなかった。新しい時代の子らには、自分で未来を選択してもらいたい。大人が間違った選択をしそうになったら、大きな声で「NO」を言ってもらいたかった。怒っていいのだと伝えたかった。」(p.252)
私たちは絶対に繰り返しちゃいけない。
この先も戦争に対してNOを突きつけなくちゃいけない。
そのことを改めて肝に銘じながら読んだ。




