
めい
@meiji_chan
2025年11月17日
君のクイズ
小川哲
読み終わった
数ヶ月ぶりくらいに「すごいものを読んだ」気持ちになれた。小川哲さんは『君が手にするはずだった黄金について』以来でした。
クイズの問題を起点に回想と現実を行き来する描写が巧みで、その場の空気感や声色まで浮かぶ。擬音や色、明るさを表す言葉はほとんど使わずに感覚が伝わってくる文章はとても好き。
平易でとにかく読みやすいからこそ主人公の三島くんに共感しながら謎に集中できる。殺人事件が起きるタイプのミステリのような「who」ではなく「why」「how」を追っていく構造なのもいい。種明かしはシンプルで、解決した時の「いや、だからなんでそんなことしたんだよ…」「そのトリックは無理あるでしょ」みたいな消化不良もない。
正解は最初からそこにあって、たどり着くことかできたところでそれは「君のクイズ」であって「僕のクイズ」ではない。とにかく無駄がなくて美しかった。



