yomitaos "言語化するための小説思考" 2025年11月17日

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@chsy7188
2025年11月17日
言語化するための小説思考
言語化ヤクザの人と話をすると楽しいのだけれど、閾値を超えるとストレスになる。それは限られた時間での言語化のため、ほんらいそうは思ってないことでも言い切るスタイルを取るためだ。それって三流言語化ヤクザで、おもにITベンチャー企業によく生息している。 作家の小川哲さんは立派な小説言語化ヤクザだが、わからないことはわからないと言う。それこそ、今でも小説の正解がわかってないそう。この本は、そのわからなさを書きながら解きほぐしていく手法で執筆されている。我々読者は、小川さんと一緒にしてああでもないこうでもないと悩み考えながら読み進めることになる、少しめずらしい本だ。ジャンルは違うが、橋本治の本を読んでいる気分になる。 薄い本だが、小説づくりのエッセンスがぎゅっと詰まっていて、思いの外読み終えるのに時間がかかる。おすすめしたいエピソードは山ほどあるが、ここでは特に気に入ったものをひとつ。 自分なりの小説を見つけるために捨てるもの、それは「自分の価値観」。例えば自分が恋愛リアリティーショーが嫌いだとする。また考察系ユーチューバーへの懸念があるとする。しかしどちらも人気がある。 それはなぜか?共通するのは一次作品があって、それを講評する2次作品があるという構造だ。なぜ構造に需要があるのかというと、「多くの人は、誰かに解答を導いてほしいのでは」という仮説が立つ。ここに次なる【小説】のタネがあるのではないか--。 自分のありふれた価値観からは出てこないところから、小説のタネが出てくる。これは自分にとって目にウロコだった。 小説に限らず、ものを書く仕事をしている方なら、必ず得られるものがあるはず。
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