
Ryu
@dododokado
2025年11月18日
考察する若者たち
三宅香帆
読み終わった
プラットフォームの中で「正解」や「報われ」を求める若者たちの痛みを「批評から考察へ」「ループものから転生ものへ」「自己啓発から陰謀論へ」「ヒエラルキーから界隈へ」など9つの構図を軸に掘り下げている。その大胆な整理はおもしろいし、またこの時代の空気を新書というフォーマットをハックしてゆるやかに捉ええていると思うぶん、各章の紙幅のためか選ばれる作品とその論じ方が恣意的だったり、都度の終わり方が尻すぼみでエモい感じになってしまっていたりするのが気になる。それはおそらく分析より共感に軸足をおいてこれらの小論が組み立てられていることに由来するのかもしれず、だとしたら「批評から考察へ」の時流に対して「批評から共感へ」と筆者が文体をチューニングしていることが多くの読者を獲得している理由なのだろうと思った。言い換えるなら、プラットフォームの時代の中で、「正解」や「解決」を提示せず、ただ若者やビジネスパーソンの生を傾聴してみせる共感的態度が、三宅香帆という「キャラ」を形作っているのかもしれない。



