もぐもぐ羊 "まぶしい便り" 2025年11月20日

まぶしい便り
まぶしい便り
ペク・スリン,
カン・バンファ
国策として外貨獲得のために韓国から送り出された派独看護師が西ドイツ(統一前)が不況に陥ったら彼女たちを強制送還しようとした。 人手不足で受け容れておいて、不況だから帰れというのはあまりにも酷い。 実際にデモや署名活動が行われて話し合いの場が持たれ、彼女たちが西ドイツで働き続けられるようになったけど。 既視感があるなと思ったのは、日本が人手不足で南米から日系人を呼び寄せたこと。 バブルがはじけて彼らの仕事や居場所がなくなっていき、政府は見て見ぬふりをしていた。 今も技能実習生の問題がある。 ソンジャおばさんの初恋の人探しはヘミが実現したけど、子どもの頃にレナやハンスと取り組んでいた時には思いもよらない結果になり、ヘミもびっくりしたと思うけど私もびっくりした。 ソンジャおばさんが初恋の人について語りたがらなかった理由も理解できた。 ソンジャおばさんは亡くなってしまったけど、時を経て出会い直すことができた「初恋の人」は幸せなのではないかと思った。 カン・バンファさんの訳者あとがきもとてもよくて、母国を離れて異国で暮らしていると自身のアイデンティティが揺らぐというか根無草のような感覚になるみたいで、私は経験したことがないけれど身の回りにいる外国人はその感覚と折り合いを付けて暮らしているのかな。 そう思うと軽々しく「移民排斥」のような発言はできないしすべきでないと思った。
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