
Suzuki
@finto__
2025年3月8日

パッキパキ北京
綿矢りさ
読み終わった
★★★★☆
「例えばすごく努力して何かの分野で一流で、人気もあって金もある、性格も良いしモテる男が「いや、僕なんかまだまだ。僕よりもっとすごい人なんて、この世にたくさんいますから」と謙遜じゃなく心から思ってて、日々努力して研鑽してるとしたら、残念ながらそいつは完敗している。「私って負けず嫌いなんです」とか言いながら食事も快楽も節制して誰よりも美しくて、ろくに休まず社会で活躍してる人間も、かける言葉も無いほど痛ましい人生の敗者だ。素の自分を、いつまでたっても認めてあげてないからだ。反対に自他共にどうやっても認めざるを得ないほど社会の底辺に属してて、毎日イヤなことや辛いことがひっきりなしに起こってても、そいつがニヤニヤしながら「おれは敵などいない。全知全能の神だ」と心から言いきれるなら、こいつはもう、完全に勝利している、一番偉く、一番進化した、一番コスパの良い人類だ。「私はそこそこでいいの、そこそこの幸せでいいから」とか言って小確幸を求める中途半端な小市民を大きく突き放し、ぶっちぎりの第一位。」p122




