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Suzuki
Suzuki
@finto__
記録:2025年3月〜
  • 2025年4月21日
    この部屋から東京タワーは永遠に見えない
    ★★★☆☆ 「いっそ、勉強もできなければ気が楽だったんじゃないかと思う。最初から無価値な人間であれば、誰からも注目に値しない人間であれば、あんな惨めな気分にはならなかったんじゃないか。惨めさとはつまり高低差で、浮かれた気分で登ったステージでヘマをするから惨めになる。完全な人間か、完全に不完全な人間。どんな不幸な形でもいいから、調和がそこにあることが、幸福へと続くただ一本の道。」p30
  • 2025年4月15日
    架空線
    架空線
    ★★★★☆ 「私は「創作」という言葉を、極力使わないようにしています。芸術が作るのは主にフィクション、虚構です。「虚」を「構」えて「創」って「作」るだなんて、どれだけこしらえたら気が済むのか。虚構を実作する、と言えばよろしい。また一歩踏み込んで、私がより好もしく思う考え方は、「虚構によって現実を作る」というものです。何かを作ることは必ず、新たな、別の現実を生み出すことだと考えます。なぜならそこには、かつて存在しなかったものが生まれるのですから。」p10
  • 2025年4月14日
    植物少女
    植物少女
    ★★★★☆ 「見ていられなくて顔を背けると、窓の外では日が暮れはじめていた。延びはじめた陽脚を生け垣が一身にひきうけていた。葉の一枚一枚に夕暮れの橙色を溜めこんで、生け垣は静かに燃えているようだった。」p45
  • 2025年4月11日
    サードプレイス
    サードプレイス
    ★★☆☆☆ 「要するに、オルデンバーグが美容院や理髪店、それに郵便局までをサードプレイスの事例に挙げているわけだから、日本にも独自のサードプレイスがあって当然である。ただし、定義をどこまで広げたらよいか、広げすぎたら概念としての有用性を失うのではないかという問題も考えなければならない。言い換えれば、サードプレイスをどのように規定すべきか。 なかなかむずかしい問題だが、「とりたてて行く必要がない」、そして「いつでも立ち寄って、帰りたいと思ったらいつでも帰れる」という基準に加え、「その場所が提供している品物やサービスとは別の目的のために行く」という点が重要だと私は考える。そう加えることによって、客の主体性に重点がしっかりおかれ、従来の目的とは関係なく理髪店や美容院、それにゲートボールのグラウンドや銭湯なども、同様にサードプレイスとなるだろう。と同時に、別の客にとってそこは単なる〈消費の場〉にすぎないという可能性も残る。」p479
  • 2025年4月11日
    感じない男
    感じない男
    ★★★★☆ 「「男の不感症」は、精神医学やセックスセラピーが考えるような、単なる性器の「オーガズム障害」ではない。「男の不感症」は、性器の次元をはるかに超えて、男たちのセックスに対する考え方や行動に影響を及ぼし、女とのつきあい方を左右し、一般的な対人関係にも深い影を落とすのである。私がこの章で強調したかったのは、そのことだ。 すでに述べたように、「感じない男」は、感じる能力をもった女に復讐しようとしたり、女よりも優位に立とうとする。しかしそれだけではない。「感じない男」は自分の体を否定するがあまり、自分の体から抜け出そうとまで試みるのである。」p61
  • 2025年4月11日
    わかりあえないことから コミュニケーション能力とは何か (講談社現代新書)
    ★★☆☆☆ 「いい子を演じるのに疲れた」と言う。私は演劇人なので、そういう子たちには、「本気で演じたこともないくせに、軽々しく『演じる』なんて使うな」といった話をする。 もう一つ、彼らが言う口癖の一つに、「本当の自分は、こんなじゃない」というものがある。私は、そういう子たちには、 「でもさ、本当の自分なんて見つけたら、たいへんなことになっちゃうよ。新興宗教の教祖にでもなるしかないよ」と言うことにしている。」p218
  • 2025年4月11日
    泡
    ★★★☆☆ 「沖合の船を見ていると、時間が流れることにおおきな意味はないと思えてくる。人間は流れる時間のなかで生きている。カレンダーをつくり時計をつくり、時間や歳月をはかっている。それは時間の影のようなもので、時間そのものではないと薫はおもう。見えるようで見えないもの、誰にも止められないものである時間が、このような光景としてあらわれている。それをことばにするなら美しいということではないか。」p173-74
  • 2025年4月11日
    死なれちゃったあとで
    ★★★☆☆ 「かかってきた電話に、友人が出られないときはある。ただ、その電話が生き死にを左右するとは思わなかったにしても、奥さんが切実な思いを抱えていること自体は察していたのではないか。そこに「面倒くさい」という感情がなかったと言えるのか。よく「死ぬ死ぬと言ってる人ほど死なないよ」という言葉を見聞きするけれども、ああいうのも「面倒くささの正当化」としか思えない。かといって四六時中、寄り添うわけにもいかない。面倒くささを一切感じたことのない人間なんて、まずいないだろう。 それでも。瞬間的に「面倒くささの壁」を乗り越えないといけない場面というのは、人生のどこかで必ず出現するのではないか。」p102
  • 2025年4月11日
    改稿新版 日常的な延命~「死にたい」から考える
    ★★☆☆☆ 「理由が辿れる「死にたい」と、なんだかわからないけどやってくる幽霊的「死にたい」の「重ね合わせ」が作り出す状態。それこそが現代の「死にたい」なのではないか。」p209
  • 2025年4月11日
    多様性の時代を生きるための哲学
    多様性の時代を生きるための哲学
    ★★★☆☆ 「鹿島 とくに重要なのは、中間階級が上に行こうとする時間軸ですね。中間階級は、もう少し上に行くこともあるけど、そこで留まっていることもある。さらに上を目指す人もいる。ウディ・アレンが『アニー・ホール』という映画でグルーチョ・マルクスの「私は私を入れるようなクラブには入りたくない」という言葉を引用していますが、これは実に上手いことを言うと思いました。「私みたいな者を入れるのは俗なクラブでダメだから、私を入れないようなクラブに入りたい」というわけです。でも、自分が入れないようなクラブには入れない。永久運動みたいなもので、中間階級は永遠に満たされないんです。日本人はずっとこれをやってきたという意味で、とても中間階層的です。いまの日本は下層化していますが。」p170
  • 2025年4月11日
    積読こそが完全な読書術である
    ★★★★☆ 「どこかの国に行きたいというときに、その国や土地について書かれた本を買い込む人がいます。それは別に読んでもいいし、読まないでもいい。それはその国に行くためのチケットであり、その国に行きたい人たちと話すためのチケットになるのです。 これは、ある種の思想や物語についても同様の機能を持っています。それが人格形成であれ、自分の国の政治や国際情勢であれ、自分が語りたいことについて誰かが語らっている場に参加するためのチケットになるのです。」p164
  • 2025年4月11日
    気がする朝
    ★★★★☆ 「したいことたくさんあるけどわたしって「したい」「したいね」でいいみたい」
  • 2025年4月11日
    河岸忘日抄
    河岸忘日抄
    ★★★★★ 「そうだろうか、と彼は思う。周囲にべつの人間が、べつの人格が、たとえ相互に無関心であろうと存在していないかぎり、どんなに内にこもっているつもりの人間でも存在できないはずではないか。自分はたったひとりだと考えるのは、だからおそろしく傲慢なことだ。おれはひとりぽっちだと、そう考える余裕を与えてくれているのは、なんの血縁関係も、なんの力関係もない赤の他人たちだからである。」p197
  • 2025年4月11日
    おれに聞くの?
    ★★★☆☆ 「肯定も否定もくそもない。あなたはあなたで完璧だしわたしはわたしで完璧なのです。いやしかし「わたし」は想定より遅れている(もしくは外れている)しあの者より劣る、かつて「わたし」の親が思い描いていたものとは違う、だとかいうのでしょうがわたしたちは比べようのないものです。それは考え方の違いとかいうものではなく厳然たる事実です。ましてや「かつて」の「他者(親)」の「気持ち」などというあるのかないのかわからないものとなど並ぶことも不可能だ。今流れた流れ星の速度とお茶が美味しいと思う「わたし」と気分はどちらが重たいかとでも聞く方がましだ。群れる生きものなので群れのためにそうした他との違いは群れの維持のために必要とされるのでしょうが、仕組みがわかればそのことで得をするやつがいるだけのことで、あなたやわたしには関係がない。あなたが何か群れの監視者ならまた別でしょうが。あなたのいう「わたし」はあなたが絶対唯一無比で、わたしがいう「わたし」はわたしが絶対唯一無比です。絶対唯一無比のあなたが絶対唯一無比のわたしに質問をしているわけです。星と星が話すようなものです。そんなところに自己肯定感などというちんけな言葉の入ってくる余白はない。」p38-39
  • 2025年4月11日
    小説読本
    小説読本
    ★★★★☆ 「地位も権力もないくせに、人間社会を或る観点から等分に取り扱い、あげくのはてはそれを自分の自我のうちに取り込んで、箸にも棒にもかからぬ出来損いのくせに、自分があたかも人間の公正な代表であるかのごとく振舞う人間。そういう人間がどうして出来上るかといえば、あるとき思いついて、誰にも見られない小さな薄汚ない一室で、紙の上に字を書き列ねだす時からはじまるのである。そしてそういうことは、大都会では、今この瞬間にも、怠け者の学生や失業者や、自分に性的魅力のないことをよく承知しているが、わけのわからぬ己惚れに責め立てられ、しかもひどく傷つきやすくて、ほんの些細な自尊心の傷にも耐えられない神経症的な青年などの、粗末な机の上で、(何万という机の上で!)、今現にはじまっていることなのである。非常に傷つきやすい人間が、「客観性」へ逃避することのできる芸術ジャソルへ走るということほど、自然な現象があるだろうか。彼がちゃんとした肉体的自を持ち、それ故に傷つけられることを怖れないなら、他人の「客観性」へ自ら身を委ねる俳優という職業だってあるのである。」p26-27
  • 2025年4月11日
    超・反知性主義入門
    ★★★☆☆ 「実際の高校生活がどうであったにしろ、「高校時代の自分」というセルフィメージが、年を取ってからの人生を支えている。これはとても大切なポイントだ。いくぶんか理想化され脚色された高校時代の自分が心の中に根を張っていてくれるからこそ、われわれは、現状の自分のなさけなさやふがいなさと、折り合いをつけることができるのである。」p216
  • 2025年4月11日
    信仰
    信仰
    ★★★☆☆ 「それが暇えばいいという気持ちはずっとある。けれど、私は、「多様性」という言葉をまだ口にしたことがほとんどない。たぶん、その言葉の本当の意味を自分はわかっていないと感じているからだと思う。その言葉を使って、気持ちよくなるのが怖いのだと思う。私はとても愚かなので、そういう、なんとなく良さそうで気持ちがいいものに、すぐに呑み込まれてしまう。だから、「自分にとって気持ちがいい多様性」が怖い。「自分にとって気持ちが悪い多様性」が何なのか、ちゃんと自分の中で克明に言語化されて辿り着くまで、その言葉を使って快楽に浸るのが怖い。そして、自分にとって都合が悪く、絶望的に気持ちが悪い「多様性」のこともきちんと考えられるようになるまで、その言葉を使う権利は自分にはない、とどこかで思ってい。」p112
  • 2025年4月11日
    いのちの車窓から
    ★★☆☆☆ 「ある日、ラジオ番組のゲストに出たとき「人見知りなんです」と自分のことを説明していることに、ふと恥ずかしさを覚えた。それがさも病気かのように、どうしようもないことのように語っている自分に少し苛立ちを感じた。 それまで、相手に好かれたい、嫌われたくないという想いが強すぎて、コミュニケーションを取ることを放棄していた。コミュニケーションに失敗し、そこで人間関係を学び、成長する努力を怠っていた。 それを相手に「人見知りで」とさも被害者のように言うのは、「自分はコミュニケーションを取る努力をしない人間なので、そちらで気を使ってください」と恐ろしく恥ずかしい宣言をしていることと同じだと思った。」p99-100
  • 2025年4月11日
    短篇七芒星
    短篇七芒星
    ★★★☆☆ 「ふふ。全部そうなんだよ。これから学校では『こんな勉強したって意味ないじゃん、使わないのに』みたいに思うことをたくさん勉強していくけれど、それも同じだよ。全部繋がってるの。そういう勉強をしたっていう知力を使ってこれからを生きてくの。難しい計算をそのまま使うってことじゃなくて、それができるっていう力を使うの」 「そうか」 「勉強も体育もマラソン大会も、それをこなす力をつけるの。で、怖いものも同じ。それをこなす力をつけていけばいい。嫌がらずに、怖がらずに」p81
  • 2025年4月11日
    ハジケテマザレ
    ハジケテマザレ
    ★★☆☆☆ 「こんなものを食べさせるなんてと、小中高大社会人まで何かと温厚と言われていた私でさえ怒りが湧き始める。しかし私の言われてきた温厚というのはこんなことされても怒らないんだね、キレないんだねというニュアンスなのだが、本当は温厚なのではなく、怒りを表したりキレたりするタイミングが掴めないだけで、キレるタイミングを間違えて間抜けなことになってしまうのが怖くて、間抜けなことになるよりは初めから怒ってなどいないということにした方がいい、という逃げ腰根性による消極的な理由でしかないのだ。感情とはコミュニケーション能力と表現力が結実して初めて存在し得るものなのだ。つまり私は温厚などではなく、怒っていてもその怒りをアウトプットする表現力も、怒りを伝えるコミュニケーション能力もないため温厚だと誤解されてしまう悲しき陰キャということだ。」p111
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