
くりこ
@kurikomone
2025年11月22日
とびこえる教室
星野俊樹
読み終わった
以前から子供にこそフェミニズムが必要だと考えていたので、こういう先生がいらっしゃって本当に嬉しい。シスジェンダー、ヘテロセクシャルが普通であり、社会から押し付けられたジェンダー規範を身に着けることで私たちはどれだけ自由を奪われているだろうか
星野さんが虐待を受けた傷つきに信田さよ子さんの本やフェミニズムを通して言葉を紡いでいこうとする姿勢が、私と同じででぐいぐい引き込まれながら読む。
一番印象に残ったことは、暴力的な男子生徒に対して強い言葉で制するのではなく「大丈夫?」と声をかけることで彼らが自分の怒りや悲しみを語りだすと書かれていたこと。DVをしている男性は自分の被害体験を全部語ることで加害性に気づくと信田さよ子さんの本で読んだことがあるが、傷つきが積もり積もって他者への暴力になるという事は、子供はもちろんのこと、昨今排外主義に流れていってしまう人にも当てはまり、本当は彼らはケアを求めているのではないかと感じる(もちろん被害者救済が一番大事なのだが)
機能不全家族を描いた宇佐美りんの『くるまの娘』では、主人公かん子は家族から中々離れられない理由を「家族にすがられたから」「家族全体を救ってほしい」からだと吐露する。星野さんの父親に対するまなざしを見ると同じような空気を感じる(という私もそうだ)。
今の社会に決定的にかけているものは、「他者の苦悩へのまなざし」である。このまなざしを育むためには星野さんのように自分の深い傷つきに向き合い、もう一度生きなおしをする事がスタート地点なのではないだろうか。自分の弱さと向かい合えてこそ他人の弱さを見るようになるものであり、それが自分や他者の自由へと繋がる。それがケアに満ちた社会を作る回路となるのではないだろうか。




