もぐもぐ羊 "ヒョンナムオッパへ" 2025年11月22日

ヒョンナムオッパへ
ヒョンナムオッパへ
チョ・ナムジュ他,
斎藤真理子
「火星の子」キム・ソンジュン 女性クローンが到着した星で目覚めるとそこにいたのは旧ソ連が打ち上げたスプートニクに乗せられてた犬のライカの幽霊がいて、さらに宇宙船の外に出ると彼女が到着する前から星の探索をしては地球に情報を送っていたロボットのダイモスにも出会う。 500年眠っていた女性クローンは自分以外の実験動物(彼女と同じクローン)が死んでいて、彼女だけが生き残った。 そして彼女は実験段階で妊娠させられていた。 ヒトのクローン実験の倫理問題を無視して作られたクローンだった。 打ち上げから500年後ということは打ち上げた人間たちは生きていないし、彼女にまつわるプロジェクトに関わった人々も死んでいるだろう。 何のための実験なのか、また人間は自分以外の者(クローン)にこんなに残酷になれるのかと思った。 ライカは博識でクローンがメスで妊娠していることを喜び、甲斐甲斐しく世話をしてくれていて、動物の方がよっぽど情がある(幽霊だけど) ライカ自身もメスでありこれはシスターフッドの物語だ。 各話ごと著者のノートがついていて、訳者あとがきで斎藤真理子さんがそれぞれの話の解説を丁寧に書いてくれているので背景を知らないと理解しにくい物語を読む助けになる。ありがたい。 「フェミニズム小説集」というサブタイトルが付いているけど、気負わずに読める。
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