ヒョンナムオッパへ

ヒョンナムオッパへ
ヒョンナムオッパへ
チョ・ナムジュ他
斎藤真理子
白水社
2019年2月21日
15件の記録
  • 「火星の子」キム・ソンジュン 女性クローンが到着した星で目覚めるとそこにいたのは旧ソ連が打ち上げたスプートニクに乗せられてた犬のライカの幽霊がいて、さらに宇宙船の外に出ると彼女が到着する前から星の探索をしては地球に情報を送っていたロボットのダイモスにも出会う。 500年眠っていた女性クローンは自分以外の実験動物(彼女と同じクローン)が死んでいて、彼女だけが生き残った。 そして彼女は実験段階で妊娠させられていた。 ヒトのクローン実験の倫理問題を無視して作られたクローンだった。 打ち上げから500年後ということは打ち上げた人間たちは生きていないし、彼女にまつわるプロジェクトに関わった人々も死んでいるだろう。 何のための実験なのか、また人間は自分以外の者(クローン)にこんなに残酷になれるのかと思った。 ライカは博識でクローンがメスで妊娠していることを喜び、甲斐甲斐しく世話をしてくれていて、動物の方がよっぽど情がある(幽霊だけど) ライカ自身もメスでありこれはシスターフッドの物語だ。 各話ごと著者のノートがついていて、訳者あとがきで斎藤真理子さんがそれぞれの話の解説を丁寧に書いてくれているので背景を知らないと理解しにくい物語を読む助けになる。ありがたい。 「フェミニズム小説集」というサブタイトルが付いているけど、気負わずに読める。
  • 「異邦人」ソン・ボミ ノワールを男女を入れ替えて描かれた小説。 ノワールでの男の描かれ方を女に置き換えることは、韓国ドラマでは叶っていることだったりするのでこの短編はその予言のように感じた。 「ハルピュイアと祭りの夜」ク・ビョンモ 女に加害した男たちが、賞金が高額な女装コンテストに招待され、女装したまま矢で狙われて絶命していく様はなんというか滑稽でもある。 着せられたドレスは脱げず、履かされたハイヒールは脱げず、動きにくい格好で逃げまどう男たち。
  • 続きの2編を読んだ。 「更年」キム・イソル 中学生の息子と小学生の娘と協力的でない夫と暮らす女性が主人公という時点で典型的な家父長性モデルだなと思った。 でも読んでいくうちに優秀な息子が付き合ってもいない女子とストレス発散のために性行為をしているとママ友の会で知らされてショックを受けてたけど、私も衝撃的すぎてこの話がどう転がるのか不安になった。 息子の言い分は相手の女子(1人ではない)とは合意の上だし避妊はしている、とのことだったが、そういうことじゃないよね? 夫はあんまり大ごとにしたくないみたいな姿勢だし、結局男同士で休日に二人で出かけて不特定多数の女子との性行為はやめると約束させていたけど、母親の意見は耳を貸さないのにこういう時だけ男同士で話をして丸く収まるのが感じ悪いと思った。 もし避妊に失敗してたら相手の女子は妊娠して少なくとも健康を損なうのに、そのことについてはこの両親も息子も気にしてなかったのが気持ち悪かった。 中学生男子がストレス発散のために性行為ということ自体がおかしいと思わないのか?というのも。 勉強漬けでストレスが溜まるにしても… 「すべてを元の位置へ」チェ・ジョンファ 読み終わってもあんまりピンとこなくて訳者解説を読みにいって、なるほどと思った。 斎藤真理子さんの過不足のない解説は本当に助かる。 この短編集はそれぞれの著者が作家ノートとしてコメントを寄せているのだけど、チェ・ジョンファさんのコメントが昨日読んだ市川沙央さんの「オフィーリア23号」(『女の子の背中』に収録)の那緒を理解する助けになりそうな気がした。 フェミニズムについて考え続けていかなくてはいけないなと改めて思った。
  • 表題作の「ヒョンナムオッパへ」(チョ・ナムジュ)と「あなたの平和」(チェ・ウニョン)の二話を読んだ。 どちらも読んでいて重く苦しい気持ちになるのにページをめくる手を止められなかった。
  • 図書館にないからという理由で読みそびれていたけど、もうすぐチェ・ウニョンさんの新刊が出るので(しかも二冊!)収録されている短編を予習がてら読みたくて買った。ようやく買った。 韓国文学は次から次へとおもしろそうな作品が新しく出るのでどんな良作でも前の作品に手が回らなくなりがちで… 他の収録作品も良さそうだし、何より翻訳が斎藤真理子さん!! これから少しずつ読んでいく所存です。
  • こばこ
    こばこ
    @chek_honda
    2025年6月22日
  • 柚子🍋
    柚子🍋
    @jnk_airport
    2025年5月12日
  • Blue moon
    Blue moon
    @mimosamimi
    2025年4月11日
  • 架瀬
    架瀬
    @SZ_tm
    2025年4月10日
  • あんどん書房
    あんどん書房
    @andn
    2025年3月16日
  • 月明かり
    月明かり
    @book_dragon
    2023年1月25日
    大好きなチェ・ウニョンさんの 「あなたの平和」を読んだ。 覚悟はしていたけれど、心に鉄球を抱えるような重みと息苦しさで涙が溢れる感覚はやっぱり私の知ってるチェ・ウニョンさんだった。彼女の作品を読むとしばらく呆然としちゃう。 自分が女性であるからこそ感じる日々の中の違和感を身近な人に相談しても「考えすぎ」「(そういう考えの人がいるから)世の中面倒くさくなった」と一蹴されるたびにものすごい孤独に襲われるから“贅沢な悩み”と言い聞かせてなんとか堪えようとしている自分がいる。本当にそんなことは日常茶飯事。 だからこそ、チェ・ウニョンさんの作品を読む時だけは私の心は自由でいられるんだと思う。読んでいる時も読み終えた後もずっしりくる物語ばかりだけど、彼女は私にとっては私自身が正直になれる唯一の光。
    ヒョンナムオッパへ
  • kuwachika
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    @skkrnngmer
    1900年1月1日
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