
tomo
@tomo627
2025年11月24日
虚弱に生きる
絶対に終電を逃さない女
心に残る一節
卓球を始めたのは、運動嫌いの私にはゲーム性のあるスポーツのほうが続けやすいのではないかという算段だった。あくまで、健康のためであって、試合に出るわけでもなければ必要以上に上手くなりたいわけでもない。
それなのに週に三〜四回という部活みたいなペースで卓球をやっている。こんなことをして何になるのだろう?と虚しさに襲われる瞬間もある。卓球の健康効果はといえば今のところ微々たるものだし、それなりに楽しいとはいえ、娯楽目的であればせいぜい二週間に一回くらいで十分である。スタッフの人に「卓球以外に趣味あるんですか?」と聞かれて「別に趣味じゃないです」と答えたこともある。生きていくために、健康になりたいからやっているだけ。
卓球なんてやってないで、本を読んだり映画を観たり仕事をしたりしたい。この運動量を一生続けていかなければならないと思うと憂鬱になる。私が空振りした球を無様に拾っているあいだにも、わざわざ運動せずとも健康を保てる同世代の多くは、キャリアを積んだり恋愛をしたり家族をつくったりしている。私は球拾いすら下手くそなので、頻繁に拾い損ねてダサいことになっている。
差は開いていく一方だ。私は何も成長しない。ちょっと卓球が上手くなるだけ。
しかし、それなのに私は、嬉しかった。卓球が上手くなって、嬉しかった。球が速くなった、ただそれだけのことが、嬉しかったのだ。
