
まめご
@mmg_86
2025年11月24日
わたしは大統領の奴隷だった ワシントン家から逃げ出した奴隷の物語
キャサリン・ヴァン・クリーヴ,
エリカ・アームストロング・ダンバー,
渋谷弘子
読み終わった
アメリカ合衆国初代大統領ジョージ・ワシントン夫妻の奴隷だったオーナ・マリア・ジャッジが、逃亡を経て自由を手にする史実に基づく物語。
元は『NEVER CAUGHT』というノンフィクションで、これを若者向けに書き直したものが本書だそうだ。
そのためか俯瞰の視点の三人称で語られていて、物語というより伝記を読んでいるような印象だった。
ただその淡々とした語り口から知る内容は、アメリカの奴隷制度についての知識が私になかったこともあって、なかなかショッキングなものだった。
オーナの逃亡は中盤を過ぎたあたりで、その後の暮らしについてもかなりページが割かれている。
これが小説なら逃亡はクライマックスで、手にした自由と明るい未来を予感させるエンディングで締めくくられるところだろうけれど、時代はまだ南北戦争前のこと、自由を得たからと言って穏やかな暮らしが約束されているわけではないのだ。
それでも最後に紹介されたオーナ本人の言葉はきっぱりと誇り高く、人間にとっての自由とは何か、考えずにはいられなかった。




