一年とぼける "日本から考えるラテンアメリカ..." 2025年11月27日

日本から考えるラテンアメリカとフェミニズム
むちゃくちゃ面白かった。序章で語られている通り、インターセクショナリティを前提としたラテンアメリカにおけるフェミニズムについてのシンポジウムの書籍化ということだが、そこで語られている以上にラテンアメリカがインターセクショナリティを通してでしか表現され得ない程混交「させられ」、それが歴史化してきたという事実が横たわっていることがヒシヒシと感じられる。フェミニズムという視点から、ここまで視野を広げられるのかという気づきを得られる、間違いなく良書。 個人的に読んでて一番ヒリヒリしたのは、第四章廣瀬純「採掘主義について」。政権の左右問わず現在の政治体制そのものがいかに資本主義にのみ屹立しているか、そしてそれがいかに家父長制の再生産へと繋がるのかという問いへの実践を紹介している。こう書くと、アメリカ批判の中国経済よりに書かれているのかと思われるかも知れないが 「中国共産党は資本主義の前衛党にほかならない」(p121) と書かれている通り、まさにそれをこそ批判している。 他の章、コラムもそれぞれ非常に魅力的で、フェミニズムを勉強してみたけどイマイチ掴みきれてない、次に読むべき本が分からないと感じている人には是非手にとって欲しい。タイトルに示されている通り、この本で語られている事はただ日本から遠く離れたラテンアメリカの紹介というだけではないから。
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