柿内正午 "近代小説の表現機構" 2025年11月27日

柿内正午
柿内正午
@kakisiesta
2025年11月27日
近代小説の表現機構
“「描写」と「語り」と——「超越の論理」と「自意識の系譜」とは実はともに決定的な自家撞着を抱えており、前者においては現世離脱という形で「いま、ここにある」現実が捨象されていくという陥穽、後者においては過剰な対象化意識が合わせ鏡の迷宮へと言葉を閉ざしていく陥穽が潜んでいた。昭和十年前後に文壇を賑わせた「自意識過剰の饒舌体」が頓挫し、戦時下にあって運命共同体的な「超越」が生み出されていくことになる道行きにこそ、おそらくは昭和十年代の文学のもっとも大きな不幸が胚胎していたものと考えられるのである。 (…) 「超越の論理」が「個」の「感応」の手立てとして、自然の〈大いなる高き力〉を選び取ったとき、抒情に裏打ちされた全体主義的な陶酔が〈私〉を襲う。” p.263-264
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