近代小説の表現機構

近代小説の表現機構
近代小説の表現機構
安藤宏
筑摩書房
2025年11月12日
14件の記録
  • 柿内正午
    柿内正午
    @kakisiesta
    2025年11月25日
    “実はこれ(引用者註:白樺派の一人称および言文一致体の達成)は、大正期に「個人主義」が、まがりなりにも日本的な一つの結実の形をもたらしていくプロセスとも並行していた。「大正期教養主義」に象徴されるように、古今東西の古典を渉猟し、孤独な読書と思索、日記による内省を通して人格を開治していく、というイメージが、白樺派、激石の弟子たちを中心に次第に定着していくことになる。 (…) 彼らが信奉した「人格」という概念は、戦後民主主義の影響を受けた今日的な「個性」「自我」の概念とはかなりその性格を異にしている。当時この言葉はある種の生命思想ともいうべき信仰に裏打ちされており、「自己」内部の生命を凝視することが同時に自然、宇宙の普遍的真理に到達する唯一の手段である、という理念に支えられていた。大杉栄が「生の創造」(「近代思想」大3・1)において、〈社会の進化〉の基礎を〈自我の、個人的発意の、自由と創造〉に求めていた事実に象徴されるように、社会主義思想、自由主義思想の別を問わず、「個」に徹することによって普遍に突き抜けていこうとする発想は、まさしく時代に共通して流れる価値観でもあったわけである。” p.162-163
  • ささき
    ささき
    @sasaki
    2025年11月19日
  • 柿内正午
    柿内正午
    @kakisiesta
    2025年11月18日
    “今日の人文科学の常識においては、特殊な独我論的立場に立たぬかぎり、「自己」を先験的な実体としてとらえる発想は稀であろう。「性格」にせよ、「人格」にせよ、個人の独自性もまた、もとからある属性としてではなく、常に生きた現実、生きた他者との関係から相対的に立ち上がってくる概念であると考える。だが、少なくともロマン主義の浸透以降、近代の文学はあえて「自我」や「個性」を至上のものとし、封建的な遺制への反逆を通し、個人の主体性を確立するドラマをみずからの命題としてきた。それはいわば無意識の規制として、「個」の独自性を描くことにこそ文学の使命がある、という強迫観念にとらわれ続けてきた歴史でもあったわけである。” p.117
  • ばるーん
    ばるーん
    @ballo____on
    2025年11月18日
  • Blue moon
    Blue moon
    @mimosamimi
    2025年11月17日
  • 柿内正午
    柿内正午
    @kakisiesta
    2025年11月17日
    “ここで文学を構成する要素として、「言葉」「人間」「状況」という三つの因子を挙げておきたい。 いうまでもなく、「言葉」「人間」「状況」に関して、近代の人文学はそれぞれ独自の学問領域を切り開いてきた。たとえば「言葉」のメカニズムに関しては言語学的なアプローチがあり、「人間」に関しては、哲学や倫理学を通して実存的な問題を追究していくことが可能だろう。「状況」に関しては、歴史学、社会学をはじめとする、さまざまな社会科学の方法的蓄積がある。こうした中であえて文学研究の意義を問うのであるとするなら、実はこれらのいずれでもあっていずれでもないということ、すなわちその要請は、「言葉」「人間」「状況」相互の「あいだ」を一個の関係概念として読み解いていく方法論にこそかかっているのではあるまいか。 すべての出発点にまず「言葉」があり、言葉で構築された虚構世界への関心を抜きに文学は成り立たない。その上で、虚構世界の生成と享受に深くかかわる「人間」と「状況」の、その可変的な相互関係を問う発想にこそ、文学研究本来の面目があるように思われるのである。そしておそらくその際の要点は、相互関係のベクトルが他に双方向を話す矢印でなければならないという原則にあるといってよい。(…) いつの時代にあってももっとも困難なのは、流行に惑わされず、相互変革的な関係から普遍的なるものをめざしていく中庸の精神なのであろう。少なくともこの半世紀の文学研究をとりまく状況は、矢印が一方向に偏ることをあえて省みず、みずからの方法的な特権を信じ続けてきた歴史であったように思われる。研究の個別の成果が、かえって作用と反作用の働く“場”を見えにくくしてきたのだとしたら、それははなはだ不幸な事態であったにちがいない。「言葉」を通して「人間」と「状況」との可変的な相互関係を問い返していくということ——こうした基本に立ち返ることが、実はいつの時代にあってももっとも困難な道なのである。” p.17-20
  • 柿内正午
    柿内正午
    @kakisiesta
    2025年11月17日
    “場面に内在的に「語ること」と外在的な視点から「描くこと」の折衷" p.75
  • 伴健人
    @vankent
    2025年11月14日
  • Ryu
    Ryu
    @dododokado
    2025年11月14日
    30代くらいのメガネをかけたビジネスマンが棚の前で買うかどうか10分くらい悩んでいて、私が手に取ったら彼も首を振りながらレジの方へ向かっていった
  • つゆり
    つゆり
    @donutsneverdie
    2025年11月12日
  • ほんま
    ほんま
    @homma_1008
    2025年11月10日
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