
ミオReads
@hanamio03
2025年11月29日
皇后の碧
阿部智里
読み終わった
ファンタジーの取っつきにくさは、まるで違う世界体系に突然放り込まれることだと思う。理解できない謎の世界の話がいきなり始まって、何がなんだか分からないまま、こっちに一切おもねることなく、向こうの常識のみで話が進んでいく。おかげで序盤は3回ほど寝落ちしたのだが、一度世界のとば口を掴むと、こっちの世界のことなんか全部忘れて没入していけるのが気持ちがいい。知性と世界の豊かな広がりを感じさせてくれる。
決して悪人ではなく、聡明で慈悲深い賢人の「見る世界」が違うことによるいかんともしがたい相互断絶と、それでも生きていくしかない諦念、けれどその諦念は賢さや広い視野、平たく生きていこうという不断の信念でしかたどり着けない境地である…みたいなことが、この筆者の真髄じゃないかと思う。精霊や宝石、後宮の華々しさ、煌びやかさをこれでもかと描写しながら(宝石の輝きを飲むという美しさよ!)根底にある怒りみたいなものがブレないのとか。
続くのかな?というより続かないともったいないなと思う。書かれていない物語があまりに多すぎる。そういう「書かれていない物語」はそのままでもいいのかもしれないけど、八咫烏シリーズを知ってる身としては、絶っっっっっ対、面白くすさまじく広がっていく確信があるから、よろしくね、という気持ち。特設サイトもイラストも気合い入りまくってたから期待してていいんだと思うけど〜。
11月、忙しすぎて何も読めずに終わるかと思った。よかった。

