本読みの旅人 "南洋標本館" 2025年11月30日

南洋標本館
南洋標本館
葉山博子
戦争に翻弄される植物学者の2人。戦争のない時代に生まれていれば……とifを考えてしまうが、戦争で日本が台湾統治をしていなければ彼らは出会わなかった。 彼らの恩師にあたる教授陣がかっこいい。戦争を冷静に見つめ、支配層である自身の加害性も認めつつ、植物の前では国籍はないという信念を持って自身の権力を正しく行使している。彼らも彼らで植物学という”何の役にも立たない”学問と戦時平時関係なく言われ続けたからか。すぐ役に立つ=金になるものにしか投資しない今と大差ない。 ただ、永山(陳)が赴任地でラトゥナにそこまで執心したのかいまいち解せなかった。陳はそれまでどちらかというと女性嫌悪な描写も多かったし。 事あるごとに、琴司の素直さ誠実さに救われる。最終章の林さんもいい!
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