
noko
@nokonoko
2025年11月30日
虫眼とアニ眼
宮崎駿,
養老孟司
買った
読み終わった
心に残る一節
年代が近いということが別に問題なんじゃなくて、その時に同時に入ったものがあるわけで、それがその後、日本が変わってきて抜けちゃったんですよ、ここ五〇年でね。その部分が抜けてない人もかなり残っているんだけど、そのそれの表現がないんです。(略)その表現できないものがどんどん消えていったわけですけど、それは意図的に消したわけじゃなくて、自然に頭の中から消えちゃったんです。それが宮崎さんの作品に出ているんですね。おそらく、それは見る人は郷愁みたいなものなのか、そういうのもあったなぁという気持ちで見ているのか、そうだと納得して見ているのか、いろいろあると思うんです。
情報とかインターネットっていうのは、基本的に相手を操作しようとする願望じゃないかと思うんですよ。相手に自分の影響力を与えたいということなのではないか。(略)僕はやっぱり電気を入れたり、スイッチを押すだけで入ってくる情報は信用していけないと思っているんです。
いわゆるリアリズムという言葉が、死語になりつつあるでしょう。(略)本当に存在しているのは我々の頭の中だけですから、それが非常に普遍的に誰にでも感じ取れるというのを、むしろリアルと言う。
だから、哲学では本来、頭の中にある観念的なものが実在すると言う考え方がリアリズムなのです。一種のプラトン主義ですけど、観念が実在していて、個々の具体的な事物というのは、それが不完全に表現されているものというんでしょうか。その具体的な事物からどうやって実在感を起こしてくるか、というのがアートです。それを理屈で言うと、やはり力がなくなっちゃうから、感じてもらうしかないわけです。世の中にあるものはどういうものかと言うのを上手に示しているのが、アートだと思うんですよね。


