
yomitaos
@chsy7188
2025年11月30日
深淵のテレパス
上條一輝
読み終わった
@ 自宅
超能力の設定と、科学偏重の現代は相性が悪い。どうやっても胡散臭さは拭いきれず、小説「リング」をただひとつの例外として認める他、存在しえないように考えていた。本作を読むまでは。
タイトル通り、テレパシーなどの超常現象および能力の使い手が、この本にはたくさん出てくる。舞台は現代。前述の「リング」が作中にも出てきており、そんな現象は実際には起こるはずないよねという共有認知の上で超常的な事件が起こる。
どうやったって、「そんな非科学的な…」と興醒めする。…はずだったのに、むしろ「そのテレパシー、頼むから通じてくれ…!」と乞い願う気持ちで最後まで読んでしまった。それは恐らく、舞台設定やESP者の描写の丁寧さがなし得ているからだと思う。
大きなウソを信じさせるために、それ以外のすべてに真実味を持たせるというテクニック。それがとても優れている。著者が澤村伊智や小野不由美の作品に影響を受けていると述べており、なるほどと納得した。
昨今溢れかえっている量産型ホラー&ミステリとはレベルが違う。この著者の作品はずっと読み続けたい。そう思える、素晴らしい体験だった。
