
noko
@nokonoko
2025年11月30日
国道沿いで、だいじょうぶ100回
岸田奈美
読み終わった
借りてきた
心に残る一節
どんなに疲れ果ててても、悔しくても、母が外で笑顔絶やさなかったのは、弟を嫌わないでいてくれる人が、弟の命は守ってくれる人が、どうか1人でも増えますようにという、祈りだったこと。
そんな苦労、わたしや弟は、なにひとつ知らなくていいように「奈美ちゃんと良太が生きてるだけで、ママはうれしい」と、何度も何度も、語り続けてくれたこと。
わたしは、なにも知らなくて。
いま、あの日に戻れたら。
国道沿いで、へたりこんで、泣いている母に会えたら。
「だいじょうぶ」って、100回言ったる。
100回言いながら、100回背中をなでる。
だいじょうぶ。
だいじょうぶやで。
なーんも、まちがってない。
良太を愛してることも、愛したいことも、ちゃんと知ってる。
だいじょうぶ。
大変なことも、惨めなことも、泣けてくることも、あるやろうね。言葉にできない愛おしさが、他の人には伝わらないことほど、悔しいことってあらへんよね。胸が潰れそうな痛みなんて、良太は知らんでええよね。
だいじょうぶ。
良太がピャーって走り出して、良太の目にしか映らない美しい世界を、良太が夢中で追いかけられるのは、あなたが命を守ってくれたおかげや。良太はきっと、大切ななにかを追っかけてるだけやって、信じてるあなたはすごいんや。


