"ドヴォルザークに染まるころ" 2025年11月30日

紬
@tsumugu
2025年11月30日
ドヴォルザークに染まるころ
ねっとりと絡みつく「世間」の呪縛。それに、何も考えず呑み込まれてきた人。違和感はあるが表向きは合わせている人。合わせない、合わせられない人。どの人たちも、どこか不自由さを感じながらも、「世間」に絡め取られているのは一緒。そして、自身も「世間」の一部を構成している…。 そんな「世間人」たちが、いろんなことをきっかけに、実態も一貫性もない「世間」という基準を離れ、自分の頭や自分の感覚を使って考え始め、一歩を踏み出すまでの話。 「世間学」という学問でも研究されてきている、日本に蔓延るこの湿った粘性の文化に生きる人々を、廃校前の秋祭りを舞台にそれぞれの1日という形で描いている。 「世間」から物理的に距離を取るのか、中に留まるのかという2択に答えはない。自分で考えて自身の生き方を選択する=自分の中に基準を持つことで、どこに身を置いていても、しなやかに自分らしい人生を送れるのだという希望を感じさせる作品。終盤の皆で校歌を歌うシーンでは、「世間」のよさも表れていて、それもよかった。滑稽さすら感じるとらえ違いが、修羅場を見事に回収するさまも。 周りの目が気になって、無意識のうちに、他人と比較したり本音を隠したり。自分らしさって、自分のことなのに、見出すのは簡単じゃないんだよなぁ。
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